生活保護にまつわる借金のはなし

生活保護と借金のはなし~借りたり返したりできるのか~

生活保護という制度があることは、皆さんもご存知のことと思います。では、その生活保護を受けている最中、お金を借りたり、返したりすることはできるのでしょうか?

まず、生活保護とはどんな制度なのか簡単に見ていきましょう。憲法にある、「健康で文化的な最低限度の生活」を国民は権利としてもっています。そして、何らかの事情によって生活していくことが困難になった世帯に、この権利を守ることを目的として、生活保護の制度が成り立っています。

生活保護については、「生活保護法」という大きな柱があり、それを基準に都道府県・市区町村単位で細かい取り決めを作っています。「生活保護法」で保護を受ける人(世帯)の権利と義務について書いてある部分がありますが、「新たに借金をしたり、保護費から借金を返済してはいけない」という記載はありません。

それでは、保護を受けながら新しく借入れをしたり、支給された保護費から今までの借入れを返済してもいいのかというと、そうはいかないのです。上に書いたとおり、「生活保護法」に基づいて、都道府県や市区町村の方針が決められていて、「保護を受けている人への約束事」というのも作成されています。それは法律や条令といった堅苦しいものでなく、「しおり」や「手帳」の中で、やってはいけないことなどが明記されています。その内容は自治体ごとに多少の違いはあるものの、借金に関してはほぼ全ての自治体が借入れも返済も禁止している事柄だと考えてください。

では、なぜ借入れできないのか。生活保護は、経済的に立ち直るまでの「最低限度の生活」を保障するための制度です。「生活保護法」にも節約をして、生活を維持する義務があると書いてありますから、支給される保護費の範囲内で生活していくように努力をしなさい、ということになります。また、もし借入れをした場合、その金額は収入申告をしなければならず、申告した金額によってその月の保護費は調整(減額)されますから、『借金した分、保護費は減り』、ただ余計な利息を生み出すだけになってしまうので、借入れはしてはいけないとされているわけです。

借入れがダメなのはわかったけど、今までの分は返したっていいんじゃない?と思われる方も多いでしょう。これについては、保護を受ける条件から考えていかなければなりません。生活保護を受けるためには、その世帯の最低限以外の財産を処分しなければいけないことになっています。仕事で車通勤をしなければならないといったような止むを得ない事情がない限り、自家用車やバイクは処分の対象となり、家の中にある物で処分すれば収入が見込めそうな調度品なども売却を求められます。それと同じように、自己破産や債務整理の手続きによって、「利息を払ってお金を借りる権利(契約)」を処分しなければならないわけです。もし、返済を続けるとしたら、保護費から利息などを支払うことになりますよね?それは「最低限度の生活」のために支給する保護費の使い道から外れることになってしまうのです。

生活保護は様々な事情によって生活が困難になった際の、最後のセーフティネットです。新たに生活を立て直し、保護がなくてもよくなれるためにも、借入れで生計を立てる発想を捨て、賢いやり繰りができるように頑張りましょう。